厩務員を目指す上で、まず理解しておきたいのが「JRA(中央競馬)」と「地方競馬(NAR)」の違いです。この二つは主催者が異なり、それが働き方や待遇、そして厩務員になるための道のりに大きく影響します。
JRAの主催は日本中央競馬会で、国の監督のもと運営されています。一方、地方競馬は各都道府県や市町村が主催しています。この主催者の規模の違いから、レースの賞金額に大きな差が生まれます。JRAのG1レースでは億単位の賞金が動くこともあり、担当馬が活躍した際に厩務員へ支払われる「進上金(賞金の5%)」も高額になる傾向があります。そのため、トップクラスの競走馬の多くはJRAに所属しています。勤務地も異なり、JRAの厩務員は茨城県の美浦トレーニング・センターか、滋賀県の栗東トレーニング・センターで勤務するのが基本です。
地方競馬は、各地域の競馬場内にある厩舎で勤務します。JRAに比べて厩務員の数も多く、門戸が広いと言えるでしょう。最も大きな違いは、厩務員になるためのプロセスです。JRAは原則として競馬学校の卒業が必須ですが、地方競馬は調教師との直接雇用が基本となります。
中央競馬(JRA)の厩務員を目指す場合、その道は一つしかありません。それは、千葉県白井市にある「JRA競馬学校」の厩務員課程に入学し、所定のカリキュラムを修了することです。地方競馬のように、調教師と直接雇用契約を結んで厩務員になる道はなく、JRAが定める専門教育を受けることが絶対条件となります。
これは、JRAが管理する競走馬のレベルの高さと、競馬開催の公正性を担保するために、全ての厩舎スタッフが一定水準以上の高度な知識と技術、そして高い倫理観を持つことを求めているためです。競馬学校では、馬のプロフェッショナルとして必要な専門知識から実践的な騎乗技術まで、体系的に学ぶことができます。
ただし、入学するためには厳しい入学試験を突破しなければなりません。その倍率は時に10倍を超えることもある狭き門であり、合格のためには相応の準備と経験が不可欠です。JRAの厩務員になるということは、まずこの競馬学校への合格を目指すことから始まる、まさに王道かつ唯一のルートと言えるでしょう。
JRA競馬学校の厩務員課程を受験するには、いくつかの応募資格を満たす必要があります。まず、学歴は「競馬学校入学時に中学校卒業以上の学歴を有する者」、健康状態は「厩舎従業員として業務を行うのに支障がない者」と定められています。
最も重要なのが「騎乗経験」です。応募時点で「競走馬・育成馬・乗馬の騎乗経験期間の合計が1年以上」あり、かつ「単独騎乗による3種の歩法(常歩、速歩、駈歩)ができる」ことが必須条件です。そのため、未経験者がすぐに応募することはできず、乗馬クラブや牧場などで経験を積む期間が必要になります。なお、「競走馬・育成馬の牧場経験があることが望ましい」ともされています。
以前は28歳未満という年齢制限や60kg以下という体重制限がありましたが、現在は撤廃されています。ただし、身体検査では「概ね70キログラムを超えない体重であること」が目安とされており、馬に負担をかけないための自己管理は求められます。また、2026年度春期募集からは、受験回数に5回までという上限が設けられる点も注意が必要です。
JRA競馬学校の厩務員課程の募集は、年に2回(4月・7月入学の春期募集と、10月・1月入学の秋期募集)行われます。試験はかつて一次・二次に分かれていましたが、現在は一括で行われる形式に変更されています。
試験内容は多岐にわたります。まず「書類審査」があり、その後、競馬学校で「身体検査」「運動機能検査」「騎乗適性検査」「本人面接」「学科試験」「性格適性検査」が実施されます。
「運動機能検査」では、懸垂や立ち幅跳びなど、厩舎作業をこなすための基礎的な身体能力がチェックされます。「騎乗適性検査」は合否を左右する重要な項目で、基本的な騎乗姿勢(スリーポイントやツーポイント)が正しくできているかが厳しく見られます。「学科試験」は、中学卒業レベルの国語・社会といった一般教養に加え、「競馬一般」も範囲に含まれるため、競馬に関する幅広い知識が問われます。過去問題は競馬学校のウェブサイトから有料で購入できるため、事前に対策を立てることが可能です。
競馬学校の厩務員課程は、6ヶ月間の全寮制で行われます。全国から集まった同期と共に、馬漬けの毎日を送りながら、厩務員として必要な知識と技術を短期集中で習得します。
カリキュラムは前期と後期の3ヶ月ずつに分かれています。前期課程では、馬学、馬術、競馬法規、護蹄といった専門学科の座学と並行して、基本馬術の実技を徹底的に学びます。馬の扱いの基礎を固める非常に重要な期間です。後期課程に入ると、より実践的な内容となり、レースを想定した走路での騎乗など、調教技術の習得が中心となります。
学校での一日は非常に規則正しく、朝5時半の起床から始まります。すぐに厩舎へ向かい、担当馬の健康チェックや馬房清掃といった厩舎作業をこなし、朝食後に実技訓練。午後は学科授業を受け、再び厩舎作業を行うという、まさに馬中心の生活です。消灯は22時。厳しい環境ではありますが、同じ夢を持つ仲間と切磋琢磨しながら過ごす6ヶ月間は、厩務員としての礎を築く、かけがえのない時間となるでしょう。
JRA競馬学校の厳しいカリキュラムを乗り越え、無事に卒業しても、すぐに厩務員として働けるわけではありません。卒業は、あくまでプロとしてのキャリアをスタートさせるための「資格」を得た段階です。
卒業後の最初のステップは、一般社団法人日本調教師会が実施する採用試験に合格することです。この試験をクリアして、初めてJRAの厩舎で働くための登録がなされます。
その後、美浦または栗東のトレーニング・センターにある各厩舎と、個別に雇用契約を結ぶ「就職活動」が待っています。学校が就職先を斡旋するわけではなく、卒業生は自ら働きたい厩舎の調教師と面接などを行い、採用を勝ち取らなければなりません。そのため、卒業生全員に採用枠が保証されているわけではなく、厩舎の求人状況によっては、すぐに就職先が見つからないケースもあります。その場合、一時的に育成牧場や地方競馬の厩舎で働きながら、JRA厩舎の空きを待つ卒業生もいます。無事に厩舎への就職が決まれば、晴れて厩務員としての第一歩を踏み出し、将来的には調教助手や調教師へとキャリアアップを目指す道が開かれます。
JRAの厩務員になる道が競馬学校という一つの門に集約されているのに対し、地方競馬の厩務員になるためのルートは非常に多様です。その最大の特徴は、各地方競馬場に所属する「調教師」が、自身の厩舎で働く厩務員を直接雇用するという点にあります。
これは、調教師が厩舎の経営者であり、採用の全権を握っていることを意味します。そのため、JRAのような統一された学校や試験は存在せず、厩務員志望者は、求人を出している厩舎を探し、応募し、面接を受けるという、一般企業の就職活動に近い形でキャリアをスタートさせることになります。
競馬学校卒業という必須条件がないため、門戸はJRAよりも広いと言えますが、その一方で、採用する調教師は「即戦力」を求める傾向が強いのも事実です。もちろん、厩舎によっては未経験者を歓迎し、一から育てる方針のところもありますが、多くの場合、牧場での実務経験や馬の扱いのスキルを持つ人材が有利になります。自分の経験や熱意を直接アピールできる、実践的な道と言えるでしょう。
地方競馬の厩務員になるための第一歩は、求人情報を見つけることです。最も確実で信頼性が高いのは、NAR(地方競馬全国協会)が運営する「厩務員募集サイト」や、各地方競馬(南関東、ホッカイドウ競馬など)の公式サイト、そして調教師会のウェブサイトを定期的にチェックする方法です。
これらのサイトには、各厩舎からの求人情報が随時掲載されます。募集要項には、「競走馬の飼養管理全般」といった仕事内容のほか、給与(例:月給24万円~)、勤務時間、休日、寮の有無、そして「未経験者可」や「経験者優遇」といった応募条件が具体的に記載されています。興味のある厩舎を見つけたら、サイトの指示に従って応募フォームから連絡を取り、書類選考を経て面接へと進むのが一般的な流れです。こまめに情報を確認し、チャンスを逃さないことが重要です。
地方競馬の厩舎では、公式な求人募集だけでなく、競馬業界内の「紹介」や「スカウト」によって人材を確保するケースが非常に多く見られます。そのため、厩務員を目指す上で極めて有効なのが、まず生産牧場や育成牧場で実務経験を積むことです。
牧場で働くことで、馬の扱いや飼養管理のスキルを実践的に身につけられるだけでなく、競馬業界内の人脈を築くことができます。調教師は、将来有望な若馬を探しに頻繁に牧場を訪れます。その際に、真面目に働くあなたの姿が目に留まれば、「うちの厩舎で働かないか」とスカウトされる可能性も十分にあります。実際に、牧場での先輩や同僚の紹介で厩舎に就職する例は後を絶ちません。未経験から地方競馬の厩務員を目指すなら、まずは牧場で経験を積むことが最も確実な近道の一つと言えるでしょう。
地方競馬の厩務員の採用は、JRAのような統一された筆記試験や実技試験はなく、基本的には「書類選考」と「面接」によって合否が判断されます。採用権限を持つ調教師との面接が、最も重要な選考プロセスとなります。
面接では、馬に関する経験やスキルについて具体的に質問されます。これまでの乗馬経験や牧場での勤務経験、どのような馬を扱ってきたかなどを具体的に話せるように準備しておくことが重要です。志望動機はもちろん、「なぜこの競馬場で、この厩舎で働きたいのか」という熱意も問われます。
同時に、調教師はあなたの「人柄」も見ています。厩舎はチームで仕事をする場であり、他のスタッフと協調して働けるか、真面目に仕事に取り組めるか、そして何より馬に対して深い愛情を持っているかが厳しくチェックされます。また、早朝からの勤務や体力仕事に耐えられる健康状態であるかも大切なポイントです。スキルだけでなく、「この人と一緒に働きたい」と思わせるような誠実さや熱意をアピールすることが、採用を勝ち取る鍵となるでしょう。
「地方競馬」と一括りに言っても、その運営形態や環境は全国各地で大きく異なります。どの競馬場で働くかによって、仕事内容やライフスタイルも変わってくるため、応募の前にそれぞれの特徴を理解しておくことが大切です。
例えば、大井、川崎、船橋、浦和からなる「南関東4競馬場」は、地方競馬の中でも賞金レベルが高く、JRAとの交流競走も盛んでレベルの高い競馬が展開されています。都心からのアクセスも良く、多くの厩舎が集まっていますが、その分、採用のハードルも高くなる傾向があります。
一方、北海道の「ホッカイドウ競馬(門別)」は、夏季のナイター開催が中心で、2歳馬の育成とデビューが早いことで知られています。冬のオフシーズンには、1歳馬の調教に携われるなど、育成の現場に近い経験を積める可能性があります。
また、世界で唯一のばん馬が鉄ソリを曳くレースを行う北海道帯広の「ばんえい競馬」は、扱う馬の種類も仕事内容もサラブレッド競馬とは全く異なります。未経験からでも挑戦しやすく、騎手や調教師への道が開かれている点も大きな特徴です。このように、地域ごとに特色があるため、自分のキャリアプランや興味に合った競馬場を選ぶことが、長く仕事を続けていく上で重要になります。
結論から言うと、厩務員の求人において「未経験者歓迎」という言葉が見られることはあります。ただし、これは主に地方競馬(NAR)に限った話であり、JRAの厩務員を目指す場合は状況が大きく異なります。
JRAの厩務員になるには、競馬学校の厩務員課程を修了することが必須です。そして、その入学試験を受けるための応募資格として「1年以上の騎乗経験」が定められています。つまり、馬の扱いや騎乗が全くの未経験という状態では、そもそもスタートラインに立つことができません。したがって、JRA厩務員を直接目指すルートにおいて「未経験者歓迎」の求人は存在しないと言えます。
一方で、地方競馬では調教師が個別に採用を決定するため、厩舎の方針によっては馬の扱いが未経験の人材を歓迎する求人が出されることがあります。特に人手を必要としている厩舎や、時間をかけて人材を育成する方針の調教師のもとでは、馬への熱意や人間性を評価して採用に至るケースもあります。ただし、この場合でも生き物を扱う仕事への適性や体力は厳しく見られるため、誰でも簡単になれるわけではないことを理解しておく必要があります。
馬の専門スキルがない異業種からの転職の場合、これまでのキャリアで培った別の経験やスキルをアピールすることが重要になります。厩務員の仕事は馬の世話だけでなく、多岐にわたる業務に対応する能力が求められるため、意外な経験が有利に働くことがあります。
まず、建設業、運送業、自衛隊など、体力が求められる仕事の経験は大きな強みです。厩舎作業は力仕事が多く、早朝からの不規則な勤務に耐えうる頑健な身体と自己管理能力は高く評価されます。また、馬運車の運転などを任される可能性もあるため、中型・大型自動車の運転免許を所持していると有利になる場合があります。
動物看護師やペット業界、畜産業など、馬以外でも動物の飼育管理に関わった経験があれば、生き物の命を預かる責任感や観察眼を持っていることの証明になります。さらに、営業職や接客業で培われたコミュニケーション能力も、調教師や他のスタッフと円滑な人間関係を築く上で非常に役立ちます。馬のスキルが無くても、これらの経験はあなたの価値を高める重要な要素となるでしょう。
未経験や異業種から厩務員という専門職を目指す上で、最も現実的で確実なステップは、まず生産牧場や育成牧場で実務経験を積むことです。これは、JRA・地方競馬のどちらを目指す場合においても、極めて有効なキャリアパスと言えます。
JRAの厩務員を目指すのであれば、競馬学校の受験資格である「1年以上の騎乗経験」を満たすために、牧場での勤務はほぼ必須のルートとなります。馬に乗り、世話をすることで、応募資格を得ると同時に、試験で問われる実践的なスキルと知識を養うことができます。
地方競馬を目指す場合も、牧場経験は大きなアドバンテージとなります。馬の扱いに慣れ、即戦力として働けるスキルを身につけることで、応募できる厩舎の選択肢が格段に広がり、採用選考でも有利に働きます。全くの未経験で不安な場合は、JBBA(日本軽種馬協会)やBTC(軽種馬育成調教センター)が実施している研修制度を利用するのも良いでしょう。これらの研修では、未経験者でも基礎から体系的に技術を学ぶことができ、修了後の牧場への就職率も非常に高くなっています。
異業種からの転職を目指す社会人経験者には、若い新卒者にはない強みがあります。それは、社会人として培ってきた職業倫理やヒューマンスキルです。馬の専門知識がない分、これらの点を力強くアピールすることが重要です。
まず、基本的なビジネスマナー、特に「報告・連絡・相談」が身についている点は大きなアドバンテージです。厩舎というチームの中で、調教師の指示を正確に理解し、馬の異変などを的確に報告できる能力は、安全管理上、極めて重要視されます。
また、前職での「継続力」や「忍耐力」も大きなアピールポイントです。厳しい環境である厩務員の仕事でも、すぐに投げ出さずに真摯に取り組んでくれるだろうという信頼に繋がります。なぜ安定した職を離れてまで厩務員になりたいのか、その「覚悟」と「熱意」を、これまでの社会人経験で得た学びと結びつけて具体的に語ることができれば、調教師の心に響くはずです。困難な課題を乗り越えてきた経験は、言葉を話せない馬と向き合う仕事にも必ず活かせるでしょう。
JRA競馬学校の厩務員課程は、春期(4月・7月生)と秋期(10月・1月生)の年2回募集があります。合格を勝ち取るためには、試験日から逆算して計画的に準備を進めることが重要です。以下に、高校3年生が春期募集(11月頃試験)を受験する場合の年間スケジュール例を示します。
* 情報収集開始: JRA公式サイトで次回の募集要項を詳細に確認し、試験内容や応募資格を正確に把握します。
* 乗馬経験の継続: 受験資格である「1年以上の騎乗経験」を満たすため、乗馬クラブや牧場でのトレーニングを継続。特に試験で問われる基本馬術(常歩・速歩・駈歩)の精度を高めます。
* 学科試験対策: 競馬学校のサイトから過去問題を入手し、出題傾向を分析。競馬一般の知識を深めるとともに、中学レベルの国語・社会の復習を開始します。
* 願書準備: 9月頃から願書の受付が始まります。履歴書や騎乗経歴などを丁寧に記入し、不備のないように準備を進めます。
* 運動機能検査対策: 体力づくりを本格化させます。懸垂や立ち幅跳びなど、試験項目を意識したトレーニングを取り入れましょう。
* 面接対策: なぜ厩務員になりたいのか、自分の強みは何かを自己分析し、熱意を伝えられるように考えをまとめます。学校の先生などに協力してもらい、模擬面接を行うのも有効です。
* 最終調整: 体調管理を最優先に、これまでの復習に徹します。騎乗技術、学科知識、面接準備の最終確認を行い、自信を持って本番に臨みます。
地方競馬の厩務員は、求人のタイミングが不定期なため、常にアンテナを張っておくことが重要です。未経験からスタートする場合の、牧場経験を経由したモデルケースを紹介します。
ステップ1:牧場への就職(開始〜1年目)
* 求人サイトの活用: 「BOKUJOB」などの競走馬牧専門の求人サイトを活用し、未経験者でも応募可能な生産牧場や育成牧場を探します。
* 研修制度の検討: 全くの未経験で不安な場合は、BTC(軽種馬育成調教センター)やJBBA(日本軽種馬協会)の研修生になることを検討します。1年間の研修で基礎を学び、牧場への就職を目指します。
* 実務経験を積む: 牧場に就職後、まずは馬の扱いや厩舎作業の基本を徹底的に習得します。社会人としての基本(挨拶、報告・連絡・相談)も意識し、周囲からの信頼を得ることが大切です。
ステップ2:スキルアップと人脈作り(2年目〜)
* 騎乗技術の向上: 担当馬を任されるようになったら、騎乗技術の向上に努めます。
* 情報収集と人脈形成: 牧場を訪れる調教師や他の競馬関係者と積極的にコミュニケーションを取り、厩務員の仕事について情報収集を行います。自分の目標を周囲に伝えておくことで、求人が出た際に声をかけてもらえる可能性が高まります。
ステップ3:厩舎への応募・就職
* 求人情報のキャッチ: 地方競馬全国協会の厩務員募集サイトや、関係者からの紹介などで求人情報を得たら、すぐに応募します。
* 面接: 牧場で培った経験とスキル、そして仕事への熱意を調教師に直接アピールします。無事に採用が決まれば、厩務員としてのキャリアがスタートします。
厩務員の仕事は、想像以上に体力を消耗します。馬の力に負けない筋力、そして早朝から動ける持久力を日頃から養っておくことが、ケガの予防と仕事のパフォーマンス向上に繋がります。自宅や学校でできる簡単なトレーニングメニューとしては、体幹を鍛える「プランク」、下半身強化の「スクワット」、そして懸垂ができる環境があれば、腕力と背筋を鍛えるためにぜひ取り入れましょう。また、日常的にジョギングやランニングを行い、心肺機能を高めておくことも非常に重要です。
JRAを目指すなら必須、地方競馬を目指す上でも強力な武器となるのが乗馬経験です。乗馬クラブを選ぶ際は、料金だけでなく、指導内容を重視しましょう。JRA競馬学校の試験では、見た目の派手さよりも、馬の動きを妨げない正しい姿勢(基本馬術)が評価されます。そのため、基礎から丁寧に教えてくれる指導員がいるクラブを選ぶことが大切です。体験レッスンなどを利用して、クラブの雰囲気や指導方針が自分に合っているかを確認しましょう。
厩務員という仕事のリアルを知るためには、インターネットや書籍だけでなく、「現場の声」を聞くことが最も有効です。可能であれば、競馬場のイベントや牧場の見学・体験会に参加してみましょう。そこで働くスタッフに直接質問する機会があれば、仕事のやりがいや厳しさについて、より深く理解することができます。また、「BOKUJOB」などのサイトには、現役厩務員のインタビュー記事が掲載されていることもあります。こうした一次情報に触れることで、仕事への理解が深まり、面接で話す内容にも説得力が増すでしょう。
厩務員は、単に「馬が好き」という気持ちだけでは務まらない専門職です。馬という繊細で力強い生き物の命を預かるため、いくつかの重要な資質が求められます。
第一に、何よりも強い「責任感」と「馬への愛情」が不可欠です。早朝からの勤務や体力を要する仕事、担当馬が思うような結果を出せない時期など、困難な場面は少なくありません。「馬が待っているから頑張れる」というような、深い愛情と責任感が仕事をやり遂げる原動力になります。
次に重要なのが、言葉を話せない馬の気持ちを察する「観察力」です。日々のブラッシングや手入れの時間を通じて、普段との様子の違いや些細な変化に気づくことが、ケガや病気の早期発見に繋がります。常に馬の仕草や表情を注意深く見て、体調や精神状態を読み取る洞察力が求められます。
そして、心身の「タフさ」も欠かせません。朝が早く、ケガと隣り合わせの仕事でもあるため、自己管理ができる体力と精神力が必要です。また、厩舎は調教師や他の厩務員、調教助手など多くのスタッフと連携するチームです。円滑に仕事を進めるためのコミュニケーション能力も大切な資質と言えるでしょう。
この記事では、厩務員になるための具体的なステップや仕事内容、JRAと地方競馬の違いについて詳しく解説してきました。
JRAの厩務員を目指すなら、まずは競馬学校の受験資格である「1年以上の騎乗経験」を積むこと。地方競馬の厩務員を目指すなら、求人情報をこまめにチェックしつつ、牧場で実務経験を積んで即戦力となるスキルを磨くこと。どちらの道を選ぶにせよ、あなたのキャリアプランに合ったルートが存在します。
体力づくりや情報収集など、今すぐ始められることもたくさんあります。「馬が好き」というその気持ちを原動力に、まずは具体的な目標を立て、夢への第一歩を踏み出してみてください。この記事が、あなたの挑戦を後押しする一助となれば幸いです。
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