騎手(ジョッキー)、厩務員になるには? 競馬学校合格するための方法
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厩務員のスケジュールを詳しく解説

厩務員の仕事は、給餌・清掃・手入れ・運動補助・健康チェックといった日々の積み重ねで成り立ちます。本記事では、JRAトレセンと乗馬クラブそれぞれの「一日の時間割」を表で示し、朝・昼・午後・夜飼いの具体タスク、季節や天候によるスケジュールの違い、記録とチーム連携の要点を整理して解説しています。

厩務員の 主なタスク

厩務員の1日は、決まったルーティン作業の積み重ねです。主な業務は以下の通りです。

  • 給餌:朝・昼・夕・夜と1日4回前後。量や内容は馬の体調やレース予定に合わせて調整します。
  • 馬房清掃:馬が快適に過ごすために、糞や尿を取り除き、敷料を交換。衛生管理は病気予防の基本です。
  • 馬体の手入れ:ブラッシングやタオル拭きで毛艶を保ち、血行を促進。傷や腫れの発見にもつながります。
  • 運動の補助:騎手や調教助手の騎乗をサポートしたり、放牧や引き馬を担当。安全に体を動かす環境を整えます。
  • 健康チェック:食欲・体温・排泄の状態を日々記録し、異常があれば獣医や調教師に報告。
  • 記録管理:調教日誌や飼料の量、体調の変化などを細かく記録し、馬の管理に活かします。

馬の生活リズムと仕事の関係

馬は早朝から活動し、昼は休息、夕方に再び活動する“朝型の動物”です。 そのため厩務員の仕事も早朝スタートが基本となります。毎日同じ時間に餌を与えることで消化器官が安定し、体調維持につながります。給餌や清掃、運動のタイミングは馬の体内リズムを優先し、人間の都合に合わせることはできません。

また、馬は体調の変化を言葉で伝えられないため、小さな変化に気づく観察眼が仕事の要です。食欲の低下、立ち姿の違和感、排泄の変化などを素早く察知し、重大な病気を未然に防ぐこともあります。 このように厩務員の業務は、単なる力仕事ではなく「繊細な観察とリズム管理」が土台になっています。

競走馬厩務員(トレセン)の一日

時間割(例)

以下は、JRAトレーニングセンターに勤務する厩務員の典型的な一日の流れです。 ※厩舎やレース前後の状況により変動します。

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時間 業務 ポイント
4:30–5:00 出勤・点呼 体温測定、食べ残しや排泄のチェック
5:00–6:00 朝飼い・馬房見回り 飼い葉量を馬の状態に合わせて調整
6:00–8:30 運動準備・調教補助 装鞍・装具確認/騎手や助手と連携
8:30–9:30 馬房清掃・敷料交換 馬が快適に過ごせる環境作り
9:30–10:30 装具手入れ・水撒き 傷んだ箇所の早期発見につながる
10:30–12:00 昼飼い・記録管理 食欲や体調をノートに記録
12:00–13:30 昼休憩 交代制で仮眠・食事を取る
13:30–16:00 放牧・引き運動・洗い場 季節によって水洗や放牧時間を調整
16:00–17:00 夕飼い・片付け 翌朝の準備/備品補充
20:00 前後 夜飼い(当番制) 補飼・見回りで状態を再確認

ポイント

  • 担当馬は通常2頭前後1頭ごとの細かい体調変化を記録・報告する責任がある。
  • 連携プレーが重要:調教師・騎手・獣医師・装蹄師などと常に情報共有し、馬の調整を行う。
  • 夜飼いは当番制で、簡易的に餌や水を補給し、翌朝まで異常が出ないよう確認する。
  • 記録業務は調教内容・飼料量・馬体重・異常の有無など細かいデータを残し、次の調整に活かす。

季節・繁忙の変動

  • 夏季は「サマータイム」でさらに早く始業することがあり、午前中の涼しい時間に調教を済ませる。
  • 冬季は日の出が遅いため若干の調整はあるが、馬の給餌時間を変えることはできない。
  • レース前は特に繁忙馬体チェックや調整メニューが増え、通常より拘束時間が長くなる。
  • 台風や猛暑・積雪時は運動内容を短縮または室内馬場で実施するなど、安全第一で柔軟に対応する。

乗馬クラブ厩務員の一日

時間割(例)

乗馬クラブの厩務員は、馬の世話に加えて会員やビジター対応も行います。レッスンやイベントの有無によってスケジュールが変動しやすいのが特徴です。

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時間 業務 ポイント
6:00 出勤・朝飼い 来場前に馬の体調を整える
6:30–8:30 馬房清掃・手入れ 健康チェックを兼ねたブラッシング
9:00–12:00 レッスン前準備・馬装 接客と安全確認が必須
12:00–13:00 昼休憩 予約状況で時間が前後する
13:00–16:00 レッスン対応・片付け 馬の疲労度合いを見極めて調整
16:00–17:30 夕飼い・放牧回収 翌日の馬割りを確認し準備
20:00 前後 夜飼い(交代制) 補飼・健康状態の見回り

ポイント

  • 会員制クラブではレッスンの合間に馬を整える作業が多く、接客スキルも求められる。
  • 土日祝日や連休は繁忙期となり、レッスン枠が増加するため休憩は細切れで取得するケースが多い。
  • 規模の大きいクラブでは厩務専任スタッフ、小規模では受付や雑務との兼務が発生することもある。
  • 季節によって放牧や洗い場での対応が変化し、夏場は熱中症対策、冬場は防寒・凍結防止が欠かせない。

朝・昼・午後・夜飼い:各パートの具体タスク

朝の厩舎作業

一日の始まりは、馬の健康状態を確認することから始まります。 体温、食欲、排泄、立ち姿などを観察し、異常がないかをチェックします。次に朝飼いを行い、飼い葉桶や水桶を清掃して新鮮な状態を保ちます。並行して馬房清掃を行い、敷料を入れ替え、快適で衛生的な環境を整えます。これらの作業は馬の健康維持に直結するため、毎日欠かさず実施されます。

昼休憩(取り方とコツ)

昼飼いの後に昼休憩を取ります。時間は60〜90分程度が一般的ですが、厩舎やクラブの運営体制により変わります。休憩は交代制で回し、馬を無人にしない工夫が必要です。昼食だけでなく短時間の仮眠を取ることで、午後の業務や夜飼いまでの長時間労働をカバーできます。夏場は熱中症予防のために水分・塩分補給、冬場は体を冷やさない工夫も欠かせません。

午後の業務

午後は運動後のケアや放牧、引き運動などが中心です。調教後の馬は汗をかいているため、クールダウンとして洗い場での水浴びやブラッシングを行います。被毛や脚の手入れは健康チェックを兼ねており、怪我や腫れを早期に発見する機会となります。また、装具や蹄の点検・清掃、翌日の準備作業も午後のうちに行います。馬体や装具に触れる時間が多い分、細やかな観察力が必要です。

夜飼い

夜飼いは20時前後に当番制で行われます。昼間に比べ短時間ですが、馬が夜間も空腹にならないように飼料を補給し、再度体調を確認します。胃腸の安定やストレス軽減のために欠かせない作業です。食欲や立ち姿に異変があればすぐに対応できるよう、最小限のチェック項目を押さえて効率的に実施されます。夜飼いは勤務時間が長く感じられる要因でもありますが、馬にとっては大切なケアの一つです。

休憩・休日の取り方

休憩配分(現場の実情)

厩務員の休憩は、一般的なオフィスワークのようにきっちり時間が決まっているわけではありません。午前と午後にそれぞれ15〜20分ほどの短休を取り、昼に60〜90分程度のまとまった休憩を挟むのが基本です。繁忙期やレース前は短休を細切れに分散して確保する場合もあります。記録や引き継ぎを徹底することで、誰かが休んでいても業務に支障が出ないように調整されています。

休日(週1〜2日相当)と当番・代休

厩務員の休日は完全週休二日制ではなく、週1〜2日程度が一般的です。夜飼いや早朝勤務は当番制で回すため、休日の取り方もそれに合わせて調整されます。連休を取れるかどうかは厩舎やクラブの規模によりますが、代休制度を利用して平日にまとめて休むケースも多いです。有給休暇の取得も不可能ではありませんが、担当馬を任されているため、同僚との連携や業務の見える化が重要になります。

繁忙/閑散・天候時の調整

レース直前や連休などは繁忙期となり、休憩時間が削られることもあります。逆に、レースのない週や来場者が少ない日には比較的余裕を持って休める傾向があります。台風や猛暑・大雪といった気象条件によっても勤務内容が変化し、運動や放牧を短縮したり室内で作業を行うことがあります。その分、馬房内の世話や安全対策に時間を割くことになるため、休憩のタイミングも天候次第で柔軟に対応する必要があります。

厩務員になりたいあなたの不安を解消

早朝の勤務時間はどのくらい?

厩務員は朝型の生活が基本で、出勤は4〜6時台が一般的です。早朝勤務は慣れるまで体に負担がかかりますが、生活リズムを固定することで対応できます。前夜は就寝時間を早め、光目覚ましやアラームを活用するのも効果的です。

また、夕方以降はカフェインを控え、就寝前に軽い炭水化物を取ると眠りやすくなります。慣れてしまえば体内時計が整い、朝の作業が日常の一部となります。

体力はどれくらい必要?

馬房清掃や給餌、馬体の手入れは確かに体力を要しますが、近年は省力化の工夫も進んでいます。軽量フォークや滑りにくい長靴など、負担を減らす道具が多く活用されています。また、作業はコツを掴むと効率が上がり、無駄な力を使わずに済みます。

普段から体幹トレーニングや柔軟を行うことで、腰痛や疲労を予防することも可能です。男女を問わず活躍している職場が多いのも特徴です。

馬に蹴られたりしない?

馬は繊細かつ力の強い動物のため、正しい接し方が不可欠です。蹴られたり踏まれたりする事故を避けるには、馬の死角に入らず、常に声をかけながら近づくことが大切です。曳き馬の際はロープの持ち方や立ち位置にもルールがあります。

さらに、ヘルメット・手袋・安全靴などの装備を整えることでリスクを軽減できます。安全意識を持ち続けることが、不安を自信に変える第一歩です。

匂いや汚れはどのくらいある?

馬房清掃や給餌では衣服が汚れやすく、匂いもつきやすいのが現実です。ただし、防臭・速乾素材の作業着を用いれば、かなり快適に作業できます。作業後にすぐ着替えられる更衣室やロッカーを備えた施設も増えています。自宅では専用の洗濯導線を作ることで、日常生活への影響を最小限に抑えられます。習慣化すれば、汚れや匂いも「当たり前のこと」として気にならなくなる人が多いです。

休みはちゃんと取れる?

「休めないのでは」と心配する人は多いですが、実際にはシフト制で週1〜2日の休みを取れます。夜飼いや当番制の業務も、スタッフ同士の協力で分担されています。業務をマニュアル化し、引き継ぎノートを整備することで休暇を取りやすくしている厩舎もあります。無理なく休める環境づくりは進んでいるため、過度に不安を抱く必要はありません。

未経験でもやっていける?

厩務員は専門知識がなくてもスタートできる職場が多く、実際に働きながら覚えるOJTが基本です。最初に習得するのは「結び方・曳き方・馬装・洗い方・蹄の扱い」など基本動作です。先輩スタッフが丁寧に指導してくれるため、経験が浅くても成長できます。

乗馬経験があれば理解が早い部分もありますが、未経験からプロとして活躍している人も多数います。「学びながら働ける仕事」である点を心強く感じるでしょう。

まとめ:厩務員という仕事を目指す前に知っておきたいこと

厩務員の1日は、早朝から夜飼いまで、馬と向き合い続ける生活です。給餌・清掃・手入れ・運動補助・健康チェックといった日々のルーティンを通して、馬の健康と安心を守る「生活マネージャー」としての役割を担います。

厩務員は「馬が好き」という気持ちを仕事にできる数少ない職種です。馬とともに生活し、その成長や変化を一番近くで感じられるやりがいがあります。興味を持った方は、体験入職や施設見学などから第一歩を踏み出してみると良いでしょう。

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