もし調教師ってどんな仕事?と聞かれたら、どのように答えますか?
「競走馬をトレーニングする人」「競走馬を鍛える人」といったところでしょうか。
それはそれで、大正解です。
調教師は、個性が強い競走馬たち、それぞれに見合ったトレーニング法を考え、実践していくのが一番の仕事です。でも、調教師の持つ顔は、そうしたトレーナーの顔だけではありません。
競走馬、騎手、厩務員が所属する厩舎を経営する責任者(社長)として、実にさまざまな仕事をこなしていく。それが調教師なのです。
調教師の仕事を具体的にあげてみると…
と、いずれも競走馬についての高度な知識と経験が要求される仕事ばかりです。さらに、厩舎の運営をするわけですから、馬だけでなく経営についての知識も必須となります。一朝一夕に調教師になることはできません。
調教師への道としては、厩務員や騎手としてスタートして競走馬の世界での経験を積んだ後にチャレンジするのがよくあるパターンです。調教師の収入は、自分の管理馬をレースに出走させることによる収入、管理馬が勝利したことによる収入、馬主から馬の管理に支払われる収入などからなります。
JRA所属の調教師の平均年収は、約1200万円。有名、有力な調教師ですと、その数倍になります。
といっても、自分の厩舎に関わるたくさんの馬や人(馬主、厩務員、騎手)に対する重い責任を背負わなくてはならないのですから、もしかすると競馬界で最もシビアな仕事といえるかもしれません。
調教師の朝はとっても早いです。早朝の3時には出勤して、馬小屋の掃除を始めます。この時間は季節による日照時間によっても変動しますが、多くは3時から4時ごろの出勤が多いです。
馬小屋の掃除はフンの始末から馬のベッドとなるワラやチップの入れ替えなど。
馬小屋の掃除が完了したら、次は馬の体調を把握し、手入れをしてあげます。体温を計り、その日の調子を見て、トレーニングを変更する場合もあります。
馬の手入れはブラッシングや蹄のケアなど。馬とコミュニケーションをとりながら、体調の変化にも気を配ります。
1時間ほど掃除と手入れに時間をかけたら、4時からはウォーミングアップ。馬だけでなく、調教師の体もほぐしてケガのないように気をつけます。
ようやく空が明るくなりだした5時くらいから、実際の調教が始まります。 運動場を使ったりプールを使ったり、馬に合わせてさまざまな調教を行っていきます。
朝食を挟み、1日に1頭から2頭の馬を調教する調教師が多いですね。1頭にかける調教の時間はそれぞれですが、長くても1時間程度が馬にも負担がかからない時間となります。
トレーニングメニューは日々変更したり、よりハードな練習を行う曜日が決まっていたりとさまざま。
調教が終わると、馬の体の疲れをほぐすクーリングダウンの時間をしっかりととります。ここまででやっと午前中の仕事が完了です。
午後からは馬のチェックや検診、馬小屋の掃除などを行い、1日が終了します。朝早くから働いているので、これだけの仕事量をこなしてもまだ夕方。
それでも事務作業やトレーニングメニューの考案などで、1日はあっという間に終わってしまいます。
その日の仕事が終わると調教師は帰宅しますが、馬小屋のベッドを手入れしたり、万が一馬が体調を崩したときにいつでも駆けつけられるようにするため、当番制で宿直を任される日もあります。この宿直の業務が完了して、やっと調教師の1日の仕事は完了。
本当にまる1日、馬と一緒に過ごす日もあります。
調教師は毎日馬の世話やトレーニングを行います。その馬の個性や特性を生かしたトレーニング内容を考えたり、体調の管理も重要になります。
そのため、馬の毎日のちょっとした変化を見極める「洞察力」、馬の適正を見極める「判断力」、さまざまなトレーニング方法から適切なトレーニングを編み出す「経験値」など、たくさんの能力がまんべんなく必要になります。このどれか一つが欠けると、勝てる馬に育てることができません。
毎日毎日競走馬の世話、トレーニングを行う仕事ですので、やはり競走馬への愛情はとても大切です。「本当に動物が好き」、「競馬が好き」、「競走馬が好き」という人でなければ、ハードな仕事なので続けることは難しいかもしれません。
調教師の給与は高いものの、休みといえる休みはほぼなくなります。 馬が突然ケガや病気をした際は、いつどこにいても駆けつける必要があります。競走馬に人生を捧げてもいい!と思えるような人は、調教師に適しているといえます。
調教師は生き物を相手にする仕事なので、勝てるか勝てないかだけでなく、一頭一頭と向き合う責任感の強さも重要になってきます。フンの世話など汚いと思うような仕事も難なくやってのけられる人は、調教師に向いているといってよいでしょう。
一方で馬の世話だけでなく、勝てる馬に育て上げられることも重要です。どのように鍛えれば走れるようになるのか、どの部分を強化すればよいのかなど考える力も必要になりますので、競馬への知識が豊富な方も調教師に向いています。
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