騎手(ジョッキー)、厩務員になるには? 競馬学校合格するための方法
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厩務員になる

競走馬の世話をし、最高だと思われる状態でレースに送り出す厩務員。
調教師が経営する厩舎に住み込みで、馬と一緒に生活しながら働きます。

馬と寝食を共にしながらステップアップ

調教風景

競馬学校の厩務員課程を経て、JRA(日本中央競馬会)の厩務員になった場合は、トレーニング・センター(茨城県美浦、滋賀県栗東)で勤務することになります。
また競争開催日の前後には、馬に付き添って出張することもあります。

厩務員の仕事には、自分次第でいろいろなステップアップができるという魅力があります。

例えば、馬の調教を行うことができる調教厩務員へ。調教というのは普通は騎手や調教助手が行います。しかし、厩務員も資格を取得すれば行うことができるのです。
厩務員からスタートし、調教師助手、さらには調教師へ!そんな将来プランだって、アリなのです。

厩務員がもらえる給与

厩務員の収入は、どんな内容になっているのでしょうか。

大まかな給料システムを説明すると…「厩務員の収入」=「調教師(厩舎の社長)からの給料」+「担当馬がレースで勝利した時の収入(賞金の5%)」です。

JRA厩務員の平均年収は、約800万円
自分の担当馬が活躍すると相当の高収入を見込むことができます。

しかし競馬学校の厩務員課程だけでなく、厩舎の採用試験も含めたいくつものハードルをクリアしなくてはなりません。それと比較すると、地方競馬の厩務員の場合は競馬学校や厩務員試験がないため、難易度は下がるでしょう。

地方競馬の現在の課題は、賞金水準が低いこと。また馬主からの預託金も高くありません。そのため働く立場としては、収入面でも仕事面(担当する馬の数など)でも厳しい環境と言えます。

また「地方競馬の厩務員として経験を積みながら、中央競馬を目指すことは現実的でない」という点も理解しておいてください。地方と中央には壁があり、移籍はできないのです。あくまでも中央競馬の厩務員をターゲットに進路を決めましょう。

厩務員の仕事内容とは?

厩務員とは、文字通り厩舎で競走馬の世話業務に従事する専門家です。

一般的に、2頭の競走馬に対して1名の厩務員が設置され、それぞれの馬の体調管理や食事、ブラッシングといったケアを行います。また、定期的な厩舎の清掃や環境保全も厩務員の仕事です。

調教師のように専門的な調教を行うことはありませんが、馬の移動や軽い運動のために厩務員が馬に乗って仕事をすることはあります。

競走馬の健康管理

厩務員の仕事内容の中でも競走馬の健康管理が特に重要です。厩務員は調教師のようなレースで勝つために競走馬を訓練する専門家ではありません。厩舎で過ごす馬が少しでも快適かつ健康でいられるように総合的なサポートをする専門家です。

競走馬の食事を世話したり、普段と違う点がないか健康面に気を配ったりと、競走馬の健康管理や日常のチェックは厩務員の基本であり、何よりも優先されるものであるとも言えます。

また少しでも異変を察知した際は即座に然るべき対処を取って、獣医や調教師と連携できるように情報を共有することも重要です。

馬体のブラッシングやシャワー

単に馬の体を綺麗に保つというだけでなく、汚れたままの馬体を放置して感染症にかかるリスクを軽減。馬体の各所にケガや傷がないか確認したりというチェック作業としても欠かせない仕事です。

また、厩務員が直接に馬体へ触れてブラッシングすることで競走馬をリラックスさせて、競走馬と厩務員の間で信頼関係を構築。競走馬の精神をケアする効果もあります。

ブラッシング中に馬体の傷や異変に気づいてトラブルを回避したケースも少なくありません。

厩舎の清掃

厩務員にとって基本的な仕事の1つです。厩舎を清潔に保つことは馬が快適に過ごせるだけではありません。病気の発生リスクを軽減できます。また競走馬の見学に来た人や馬主が訪れた際に厩舎が汚れたままでは、調教師や厩務員に対する信頼を損なってしまいかねません。

そのため厩務員は積極的に清掃して、環境的にも外観的にも厩舎を綺麗な状態を保っておく必要があります。

調教のウォーミングアップやクールダウン

厩務員が調教前のウォーミングアップや、調教後のクールダウンといった作業を担当することもあります。

専門的な調教は調教師が行います。しかし、調教師が多くの競走馬を抱えている場合は、負担を少しでも減らすことが大切です。厩務員が調教師をサポートして、競走馬にとっても調教師にとってもやりやすい環境を整えます。

レースでの付き添い

競走馬が出走する時はレース場に付き添い、レース前後の世話や万一の事態に備えます。

なお、レース前の食事量を調整することも厩務員の役目です。なお競馬場では出走馬のための馬房が用意されているため、そこでブラッシングや各部位の手入れをします。

レースが終了すれば厩舎に帰りますが、そこでも改めてケガの有無を確認します。

厩務員と調教師の役目はどう違う?

厩務員の役目は馬の世話全般と厩舎の管理であり、レースに向けた競走馬の調教を主導する調教師とは役目が異なります。反対に、調教師が普段の馬の世話や管理を行うことは少ないでしょう。

ただし、厩務員として働く人の中には、専門資格を取得して「調教厩務員」として活動しているプロもいます。

調教厩務員の場合、馬の調教から日常の管理までトータルで担当することが特徴です。

厩務員になるのに資格は必要なのか?

一般的な厩務員として働くために資格取得は必要ありません。しかし、調教厩務員として働くためには資格取得が必要です。

そのため、厩務員として働きながら勉強を続け、調教厩務員の資格取得にチャレンジしている人もいます。

厩務員の主な就職先である中央競馬と地方競馬の違いは?

厩務員の主たる就職先として挙げられるものが、中央競馬と地方競馬です。

中央競馬は、農林水産大臣の監督下で公的資金を投入された特殊法人「日本中央競馬会(JRA)」によって運営されており、開催範囲も日本全国規模となっています。

一方、地方競馬は都道府県や指定市町村といった地方自治体によって運営されている競馬であり、開催場所も自治体のあるエリアに限定されるなどの特徴があります。また、中央競馬と異なる点として地方競馬の多くがダートコースとなっており、レースの開催日も中央競馬とぶつからないように平日開催が一般的です。

加えて、活躍する騎手や競走馬の違いも無視できません。

そもそも中央競馬と地方競馬では運営元が異なっており、ルールや環境についてもそれぞれに違いがあります。そのため、地方競馬で活躍しているからといって、そのまま騎手や競走馬が中央競馬のレースへ出走できるとは限らない点が重要です。

ただし、近年は中央競馬と地方競馬との間で交流事業なども積極的に開催されるようになっており、どちらに所属する騎手や競走馬であっても出走できるレースが用意されていることもあります。

とはいえ、レースの優勝賞金や騎手の獲得賞金などに関して見れば、やはり規模の大きい中央競馬が勝っていることも事実です。そのため、より高みを目指す騎手や競走馬は一般的に中央競馬へ所属することが主流とされています。

厩務員になる方法は中央競馬と地方競馬で変わる?

運営ルールが異なっているため、必然的に中央競馬と地方競馬では厩務員として所属する方法も異なります。

中央競馬の厩務員になろうと思えば、日本中央競馬会競馬学校(JRA競馬学校)へ入学して、厩務員課程を修了しなければなりません。

地方競馬において厩務員として働くためには、各地にある厩舎や調教師と雇用契約を結ぶことが原則となります。そのため、地方競馬の厩務員を目指すだけであれば特定の学校を卒業する必要はありません。

ただし、厩務員は大切な競走馬のケアを請け負う重要な仕事であり、中央競馬であっても地方競馬であっても競走馬の世話のプロとして十分に認められる知識やスキルの修得が必須です。

中央競馬の就職に必要な「JRA競馬学校」へ入学するには?

JRA競馬学校を卒業して厩務員になろうと思えば、まずJRA競馬学校の入学試験に合格して、厩務員課程に入学しなければなりません。

JRA競馬学校の厩務員課程の願書受付期間は毎年9月から10月頃の年1回となっており、募集人員は4月入学生と7月入学生でそれぞれ15名程度(年度合計30名程度)となっています。

また、応募資格として、JRA競馬学校への入学時に中卒以上の学歴を有しているか、同等以上の学力を有すると認められていること、さらに競走馬や育成馬に関する1年以上の騎乗経験といった項目が設けられています。なお、騎乗経験には期間の長さだけでなく、常歩や速歩など指定の技術を修得していることも必要です。

厩務員課程は6ヶ月となっており、修学費用は概ね45万円程度とされています(2021年時点)。

[※1]参照元:JRA|厩務員課程

[※2]参照元:JRA|競馬学校について Q&A

厩務員について学べる教育機関

JRA競馬学校の他にも競馬学校や専門学校、大学などで厩務員としての勉強を行えたり、動物の世話や飼育方法を学べたりすることもあります。

当サイトでは競馬学校についても色々とまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

厩務員の1日の仕事を紹介

厩務員はどんな1日を送っているのでしょうか。

その流れをチェックしていきましょう。

午前1時から3時 清掃とコンディションチェック

厩務員は多くの人が眠っている午前1時から2時くらいに起床し、遅くとも午前3時には1日をスタートさせます。

まずは馬房の馬糞などを清掃し、馬のコンディションや足元に異常はないかをチェック。

厩務員は一人あたり2頭から3頭の馬の面倒を見るのが一般的です。

そのため、丁寧に清掃、チェックを行おうと思うとこれくらいの時間に起きる必要があるのです。

午前4時 ウォーミングアップ

馬房の清掃、馬のコンディションチェックが終わったら馬を外に出してウォーミングアップを開始します。

その後の調教に備えるため馬の体をしっかりほぐし、また同時におかしな点はないかの最終確認も行います。

午前5時 調教開始

ウォーミングアップが終わり、午後5時になると調教が開始されます。

調教メニューは馬の状態や厩舎によって様々ですが、週に2回ほど強めの強調を行うところが多いようです。

厩務員は調教後、疲れた馬の筋肉をほぐすクーリングダウンをお手伝いすることになります

その後土、汗で汚れた体を清掃し、馬のコンディションを再びチェックします。

午前6時 朝食

調教が終わり馬を馬房に帰らせたあと、馬に朝食を与えます。

このエサの調合も厩務員が行います。

午前7時 2頭目の調教

朝食が終わると2頭目の調教に入ります。

1頭目と同じくウォーミングアップ、クーリングダウンを手伝い、馬のコンディションを丁寧に確認していきます。

午前9時 休憩

2頭目の調教が終わるとやっと厩務員の休憩時間になります。

その間に朝食をとったり、仮眠をすることも。

厩務員は自分のことよりも馬のことを第一に考えなければならないので、食事などもすべて限られた休憩時間にとらなくてはなりません

午後からは馬と馬房のチェック

午後になると馬房を再び清掃し、馬の手入れ、体の状態の確認、獣医師による診断や治療に立ち会う、さらに午後のエサやりなどを2時間程度かけて行います。

馬のお世話が終わったら、厩務員や調教師などスタッフで集まって会議を行い、翌日の調教メニューなどを相談していきます。

宿直がある場合も

厩務員は午後5時頃にはすべての仕事を終えますが、宿直当番になるとその日は馬房に泊まり込むことになります。

馬にエサを与え、異変はないか確認したり、万が一のトラブルにも備えられるようにしていきます。

厩務員にとってのやりがいとは?

競走馬にまたがってレースする騎手や、勝てる競走馬を育成する訓練を担当する調教師に対して、厩務員ならではの仕事のやりがいにはどのようなものがあるのでしょうか。

馬の成長や変化を感じられる

厩務員は関係者の中でも特に身近な立場で競走馬に接することになります。

厩舎に来たばかりの競走馬が徐々に成長していったり、変化していったりする様子をリアルタイムで眺めらます。厩務員ならではの特権と言えるでしょう。

育て方やケアについて考えられる

餌の与え方や量、馬体の世話の仕方やリラックスのさせ方など競走馬にはそれぞれの個性があり、育て方やケア方法も様々です。

そのため厩務員は自分が担当する競走馬について、それぞれに適した方法がどんなものかと試行錯誤を繰り返しながら世話します。

大切な競走馬にとってより良いケアプランを考えることは、プロとしてやりがいを感じられるポイントです。

経験やスキルに応じて給料の額も増える

厩務員として経験を積み、馬のケアを行うスキルのレベルが上昇すれば、それだけ実力を認められて給料の額にも反映されます。

競走馬が健やかに暮らしていける環境はレースでの勝利を目指す上でかなり重要です。厩務員の環境を整える力に見合った待遇を考えることは、厩務員だけでなく競走馬にとっても重視すべきポイントになります。

世話した競走馬がレースに勝つと誇らしい

自分が手塩にかけて育てた競走馬がレースで勝利すると、やはり厩務員として誇らしい気持ちになります。ただしレースに出走する前やレース中は「事故がありませんように」「ウチの馬は勝てるだろうか」と不安に駆られることも。勝った喜びやレースでの心配をダイレクトに感じられることは、厩務員ならではの感情だと言えそうです。

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