競走馬の四肢のバランスを整え、その生命線ともいえる重要な仕事、装蹄師についてご紹介します。
装蹄師になるためには、資格が必要です。社団法人日本装蹄師会の「装蹄師認定講習会」を受講し、認定試験に合格する必要があります。
ただし厳密には、乗馬の装蹄師であれば必ずしも資格が必要というわけではありません。それでもやはり、認定を受けている装蹄師に比べ無資格の装蹄師は信頼度が下がりますし、受けられるサポートにも違いがあるので、資格はあったほうが良いでしょう。
倍率は4倍前後といわれており、馬に関する仕事の中ではあまり倍率は高くありません。
日本国内で装蹄師として活動するためには、公益社団法人日本装削蹄協会が認定する3つのグレード「2級認定装蹄師」「1級認定装蹄師」「指導級認定装蹄師」のいずれかの資格を取得する必要があります。
2級認定装蹄師は認定講習会の受講と修了後の試験に合格した段階で申請が可能となり、実地と筆記の双方から基礎技術を身に付けた証しとされます。1級認定装蹄師に昇級するには、2級資格取得後に4年以上の実務経験を経て、昇級研修会と昇級試験をクリアすることで申請が受理されます。さらに指導級認定装蹄師は、1級取得から少なくとも9年が経過した者が受験資格を得るほか、全国大会優勝者には例外的に受験猶予が認められる制度もあり、装蹄師としての技能だけでなく指導者としての見識や論文力も問われます。
2級認定装蹄師を目指すには、まず栃木県宇都宮市にある装蹄教育センターが実施する「2級認定装蹄師認定講習会」に応募しなければなりません。講習会は全寮制で1年間(4月上旬~翌年2月中旬)開催され、蹄の基礎理論から熱付け実習、実馬を用いた装蹄技術まで幅広く学びます。受講資格は4月1日時点で満18歳以上で、選考試験は高校卒業程度の一般教養を問う筆記試験(SCOA)、体力試験、面接試験で構成されます。講習中には実技と筆記の認定試験が複数回実施され、すべて合格して認定申請を行うことで2級認定装蹄師の資格が得られます。
2級認定装蹄師を取得した後、1級昇級には4年以上の実務経験が必要で、協会が主催する1級認定装蹄師昇級研修会を3日間受講した上で、学科と実技試験に合格すると認定申請が可能になります。指導級認定装蹄師になるためには、1級取得後9年以上を経過し、さらに専用の研修会と昇級試験を受験し合格する必要があります。指導級試験では論文審査も課され、装蹄業界を牽引するリーダーとしての知見や指導力が重視されます。全国大会優勝者には10年を待たずして受験資格が与えられる特例があり、競技成績によってキャリアを加速させる道も開かれています。
資格はあくまでも装蹄師として活躍するための最低限の条件。競走馬の装蹄師として働きたいのであれば、乗馬関係の装蹄師よりも厳しく、技術力が問われます。
競走馬にとって、脚のコンディションが命であることはいうまでもありません。その腕前の良し悪しで、競走馬の結果を左右するほどの重要な仕事が、装蹄師なのです。
装蹄師の仕事は、強力な脚力を持つ馬の脚を扱うかなり危険な重労働。見習い1日目で挫折する人も、かなり多い職業です。体力にかなりの自信がある方に向いていると言えます。
また、競走馬にも個性があるため、通り一遍の作業さえ身に着けていればいいというものではなく、常にさまざまな例外に対処する技術力も非常に重要です。
例えば、かの有名な競走馬ディープインパクトとの逸話が有名です。ディープインパクトは蹄が極端に薄く、通常の蹄鉄の釘が使えず、通常の装蹄を施すことが困難でした。それに対し、新しい接着技術と積み上げられてきた装蹄の技術で対処しました。
このほかにも、名競走馬と装蹄師のエピソードはたびたび語られることもあり、馬とのかかわりが非常に高い職業であることがうかがえます。
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