誰でも競馬学校の入学試験を受けることができるわけではありません。応募にあたっては、さまざまな条件を満たしている必要があります。
競馬学校(JRA)に入学するには、試験科目をパスすることはもちろんのこと、受験するための資格を満たすことも必要となります。
では、JRAに入学するために必須となる資格とはどういった内容なのでしょうか?
受験するにあたって特に注意したいのが、年齢制限です。入学する年の4月1日現在で、20歳未満であることが条件となります。
厳しい年齢制限を設けている背景には、JRAが年齢によって体重の上限を設定していることが挙げられます。体重が年齢にともなって増えていきますから、若いうちの方がクリアしやすいのでしょう。
また、入学時に中学卒業以上の学歴、またはそれと同等の学力を持っていることも必須の条件となります。
JRAでは、年齢区分ごとに体重の上限が指定されています(44.0kg~46.5kg)。この体重の上限にオーバーすると、いかなる理由があっても応募できません。
さらに、入学後も生徒は体重の厳しい管理を求められます。 例として、平成30年の4月の募集要項を紹介します
▽横にスライドできます。
出生した年月 | 体重 |
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平成12年9月30日以前に出生した人 | 46.5kg |
平成12年10月1日から、平成13年3月31日の間に出生した人 | 46.0kg |
平成13年4月1日から9月30日の間に生まれた人 | 45.5kg |
平成13年10月1日から、平成14年の3月31日に出生した人 | 45.0kg |
平成14年の4月1日から9月30日に出生した人 | 44.5kg |
平成14年の10月1日に出生した人 | 44.0kg |
このような厳しい体重制限が設けられている理由は、業界ではとにかく体重の軽い騎手が求められているからです。
競馬では馬に適切な指示を与える騎手の存在が不可欠です。しかし、騎手の体重が重ければ、その分支えている馬にも大きな負担がかけられます。
どれだけ技術が高くても、馬に余計な負担をかけていれば、レースでも勝てなくなるため、騎手にとって体重管理は死活問題といえるのです。
理想とされている騎手の体重は、50kg前後。騎手になってしまえば、学校に入学する時のような重量制限はありません。
しかし、体重が53kg以上になると、出場できるレースも限られてくるため、騎手になると体重管理は必須となります。つまり、入学するための体重制限が、騎手となるための試練の1つです。
体重とは違い、JRAでは身長の制限はありません。
しかし、身長が高くなれば、その分体重も増加するため、高身長の人は入学する上で不利に立たされます。
現在活躍している騎手の身長は、平均して160cm。身長が高いといわれていた武豊騎手も身長は170cmですから、やはり騎手にとって身長は低い方が有利だといえます。
地方競馬の中には、身長によって参加できないところもあるため、身長が170以上の背の高い騎手は、体重を落とすために厳しいウェイトトレーニングを行わなければなりません。
JRAに入学するには、視力は両眼とも裸眼で0.8以上あることが条件となります。
JRAの入学資格に視力が必要である理由は、レースでは眼鏡やコンタクトレンズの着用が禁止されているからです。
もしもレース中に風や振動によって眼鏡やコンタクトがズレてしまうと、重大な事故に繋がる恐れがあります。そのため、レースに出場する騎手にはある程度の視力が必要となるのです。
視力を回復させる方法として、最近ではレーシック手術を受けるという選択肢もあります。原則18歳以上になればこの手術を受けることは可能ですが、時間経過によって近視が再発するなど、さまざまなデメリットも存在するため、レーシックによって視力を矯正する方法はあまりおすすめできません。
裸眼の視力をアップさせる方法として、近年注目されているのが、「オルソケラトロジー」です。
このオルソケラトロジーは、装着することで視力をアップさせる特殊なコンタクトレンズです。このオルソケラトロジーは軽度の視力低下にのみ効果がありますが、最近では重度の視力低下にも効果がある「オサート」と呼ばれるコンタクトレンズも開発されています。どうしても視力が足りない場合、こういった製品を試してみてもよいでしょう。
また、視力の低下は食事でのビタミン不足や睡眠不足、ゲームやスマホの画面を長時間見ることでのドライアイも原因です。食生活や生活習慣の改善により、低下する視力にブレーキをかけ、視力アップを促すことができます。
どうしても裸眼の視力がアップしない場合は、最後の手段として海外の競馬学校に進学するという選択も取れます。オーストラリアでは矯正視力でも騎手になれるため、視力が低くても入学することができるのです。
競馬学校では、視力以外にも「色覚」が求められます。
この色覚とは、自動車教習所などでも検査される色を見分ける力のことです。色を見分ける色別力が不足していると、レースの進行上のトラブルや事故が起こりやすいと思われており、現在では騎手になることが規制されています。
2003年から、小学校の健康診断でこの色覚検査は廃止されており、視力に異常が見られないことから、この色覚の異常に気がつかないケースも増えています。
学校側へ申し出るか、眼科などに相談することで、この色覚の検査を受けることは可能です。競馬学校への進学を考えているなら、必ず検査を受ける必要があるでしょう。
競馬学校へ入学するためには、聴力も必要とされます。聴力が低いと、レース時にトラブルが発生する恐れがあるため、騎手として業務を行うのに支障がない程度の視力は必要となります。
この聴力は中耳炎などの病によって低下する恐れがあるため、耳に異常を感じた時は、速やかに病院で診察を受けるようにしましょう。
競馬の騎手となるには、体が業務を行える状態であることが条件です。
レースに出場すると落馬や事故を起こしかねない持病や、安静が必要な怪我や病気を抱えている場合、JRAに進学することはできません。日々の健康に気をつけ、怪我や病気などがないようにしましょう。
JRAの規定では、以下の4つに該当する人も進学することができません。
平成23年度入学の場合、競馬学校 騎手課程の三年間にかかる費用は約380万円です。
その内訳は、学費約210万円、その他に騎乗装具制服などが約50万円、食事代として約120万円がかかります。
学費は、入学金が95,000円と授業料が3年分で約200万円です。入学金は一括納入、授業料については、毎月87,000円を納入することになります。授業料については、卒業後に後払いすることができる「授業料徴収猶予制度(所得制限あり)」を利用することができます。また、実技カリキュラムとしてトレーニング・センターで行なわれる厩舎実習期間中(約1年)は、授業料を徴収されません。
平成28年4月から、JRAでの修学費用は無償化(3年間で約120万円の食事代を除く)されました。
JRAの3年間の学費は約210万円。その金額に合わせ、馬上装具・制服などが約50万円、総額で260万円もの金額が無償となったのです。
これは、門戸を広げて進学希望者を募り、多くの優秀な騎手候補を選抜したいとするJRAの意図によるものです。
それでも、3年間で120万円の食費は高額だと考える人も多いでしょう。しかし、月間で計算すれば約3万3000円の出費です。このくらいの金額であれば、高額な教育ローンを組まずとも入学することができるでしょう。
前述の学費は日本中央競馬会JRAの競馬学校での数字です。一方、地方競馬NRAの騎手養成学校である地方競馬教養センター(栃木県那須塩原市)の学費は、JRAとは少しシステムが異なります。
NRAの場合は、基本的に入学金・学費は不要。無償で騎手過程を修得することができ、地方競馬教養センターへの支払いは食費のみでOK。
あとは、日常生活での必要経費や通信費、日用品・雑貨購入費、趣味・嗜好品代などが実費での自己負担です。
平成29年度98期生の場合は、入所中の食費として2年間で約80万円が必要となっています。JRAの食費が3年で約120万円ですから、1年あたり約40万円というのは変わらないようです。
なお、食費は原則として学期ごとの支払いですが、第4学期の競馬場実習期間中の食費は不要。
保護者の経済状況によっては食費の支払いが猶予されたり、免除されたりもするので、家庭の事情によって騎手を目指すことを断念する必要はありません。
3年間で400万円近くの学費や食費などがかかるJRA競馬学校と比べると、かなり経済的負担が少なく騎手になることができるのが地方競馬教養センターの特徴です。
那須登山や東京旅行などの課外授業・レクリエーションも豊富で、充実した騎手養成所生活を送れるのも魅力でしょう。
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