女性が騎手を目指すとなると、何かと不安を感じることも少なくないでしょう。本記事では、女性騎手を目指している方に向けて、どのようなキャリアパスがあるかについて見ていきたいと思います。
まずはイメージしてもらいやすいよう、実在の女性騎手のキャリアパスを見てみたいと思います。女性騎手の中でも有名な人といえば増田由貴子選手が挙げられるでしょう。
増田選手は競馬学校時代から優秀な成績を収めた方で、JRA競馬学校卒業時には、最も優秀な卒業生に送られる「アイルランド大使特別賞」を受賞しています。その後、1996年にJRA初の女性騎手としてデビューを果たしました。デビュー時は、他の女性騎手の方も一緒にデビューをしています。
デビュー後は騎乗数が少ないながらも勝ち星を重ねていき、3年目の落馬事故を原因とした1年以上の休養というアクシデントはあったものの、デビューから9年で34勝をあげるという成果を残しています。
また、同期には優秀な選手がたくさんおり、2020年10月現在でも活躍している方も。その中でも福永祐一騎手は高い人気を誇る選手だといえるでしょう。
その後、増田騎手は2013年に引退し、一時期女性騎手がいない時期がありましたが、2016年には藤田菜七子騎手がデビューしています。
藤田菜七子騎手は女性騎手ながら活躍を続け、2020年4月には通算100勝を達成していますが、2020年現在、JRAに在籍している女性騎手は藤田騎手ただ一人となっています。
ただし、地方ではばんえい競馬も含めると10人近く活躍しています。とはいえ、騎手業界は男性社会の色が強いため、先程の増田騎手のように、女性騎手ではたとえ実力があっても騎乗機会に恵まれにくいのが実情です。
例えば、増田騎手と同期の福永騎手とで騎乗回数を比べてみると、デビューから3年間は増田騎手より福永騎手の方が3倍~4倍は多く騎乗していることが分かります。
男性と女性とでは体格差があるため、騎手業界でも女性には優遇制度が用意されていることもあります。
例えば、重賞レース以外では平地競争で1kg、ばんえい競馬では10kgが負担される負担重量優遇制度が地方競馬場を中心に導入されていましたが、2019年には中央競馬でも実施されました。
この制度の内容は、女性の見習い騎手は50勝以下で4kg、100勝以下で3kgの減量があり、男性と比べて優遇の度合いを高くするというもの。見習い騎手でない女性騎手にも2kgの減量が設定されています。
女性のキャリアパスを考えるうえで、結婚は重要なポイントとなるでしょう。
そもそもあまり人数が多くないため、参考にしにくい部分もありますが、これまでの女性騎手を見てみると結婚後の女性騎手は家庭を支えるために引退を選ぶ騎手が多いようです。とはいえ、結婚後も活躍している女性騎手の方もいらっしゃいます。
例えば、名古屋競馬場の宮下瞳騎手は2005年に同じ名古屋競馬場に所属する男性騎手と結婚し、その後も2011年までに地方通算626勝という成績を残し引退。2012年には第一子となる長男を、2014年には第二子となる次男を出産しています。
さらに、3歳になった長男から「馬に乗っているママが見たい」と言われたことをきっかけに、2016年に5年振りの復帰を果たしています。
現役復帰はそう簡単なことではなく、宮下騎手は最初厩務員として競馬場に戻り、馬を世話しながら調教の際に騎乗して勘を取り戻すことをしていたそうです。
一度引退した女性騎手が復帰する例は彼女以外にはなく、2019年には地方競馬通算800勝を達成、そして2020年には地方通算1万回騎乗を達成しています。
女性騎手についてはこうした事例がまだ少ないですが、そもそも女性騎手の人数が少ないということでもあります。これから女性騎手を目指す方の中には、騎手業界に新しい歴史を作るような方も多く出てくるのではないでしょうか。
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