騎手(ジョッキー)、厩務員になるには? 競馬学校合格するための方法
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騎手(ジョッキー)になる

騎手(ジョッキー)は、サラブレッド(競走馬)に騎乗してレースの勝利を目指すスポーツ選手です。
ここでは、騎手の働き方と収入を見ていきましょう。

騎手の騎乗パターンと年収

女性 騎手

レースには、JRA(日本中央競馬会)が主催する「中央競馬」と、地方公共団体が主催する「地方競馬」があり、それぞれの騎手になるためのルートや資格が違います。

中央競馬の騎手は、競馬学校を卒業し、騎手免許試験に合格するとトレーニング・センター(茨城県美浦、滋賀県栗東)で調教師の経営する厩舎に所属。

厩舎スタッフとして働きながら、日頃は早朝から調教に騎乗し、競馬の開催日には全国各地でレースに騎乗します。土日のレース明けの月曜日は休みとなります。

騎手の収入は、レースに騎乗した時に支給される騎乗手当と騎手奨励手当、レースで獲得した賞金の5%が支給される進上金などがあります。

レースのランクによって決まっている騎乗手当と騎手奨励手当は、約4万円~約8万円。騎手は、一日に数レース騎乗しますから、それだけでも結構な収入になります。

高収入を目指すなら中央競馬

中央競馬の場合、騎手全体の平均年収は約1000万です。そして、一流クラスともなると年収約1~2億円を稼ぎ出します。

たとえば、国内のレースで特に賞金が高いと言われているジャパンカップで一着を取った場合、1着賞金2億5000万円の5%にあたる1,250万円をたった一つのレースで獲得することができます。

地方競馬の騎手の場合は、上位者でも500~600万ですから、「目指すならやはり中央競馬の騎手」ということになります。

騎手としての現役生活はだいたい30代後半までとなります。引退後は、調教師など、競馬に関係する職業でセカンドキャリアを歩む人が多く見られます。

2015年、外国人がJRA所属ジョッキーに

ここからは、正式なJRA所属の騎手になった外国人がいるのか、また外国人騎手や未経験の外国人がJRA騎手になるためにはどういう方法を辿ればよいのかを紹介していきましょう。

2015年のJRA騎手免許の試験では、2人の外国人がジョッキーの試験に合格し、正式なJRA騎手になりました。合格者は、フランス人のクリストフ・ルメールと、イタリア人のミルコ・デムーロです。

どちらの選手も、日本で長いあいだ外国人ジョッキーとしてレースで活躍しているおなじみの存在で、国内にも根強いファンをもっています。

2人がJRAの騎手免許に合格したことは、競馬業界でも大きなニュースになりました。

なぜかというと、この時代にJRA所属の外国人ジョッキーが誕生したからです。じつは、それまで外国人ジョッキーが通年でレースに出ることのできる資格を取ることは、ほとんど不可能でした。

「短期免許」での来日しかできなかった外国人ジョッキー

競馬には、「短期免許」というシステムがあります。海外の強豪選手を国内のレースに招く、または日本人騎手が海外のレースに出る際、一時的にその国の騎手として活動できる免許を与える制度です。

短期免許は、原則として試験を受けてから1ヶ月単位で付与され、年間でも最大3ヶ月までしか更新することができません。

一般的に、海外から日本に招く選手、日本のレースで活躍しようと来日してくる選手は海外で結果を出している実力者が多いため、どうしても外国人選手に馬主や馬券の人気が集中してしまいます。

一部の選手に人気が集中すると、実力の足りていない若手選手の育成や国内騎手の実力向上を阻害する可能性があるため、ある程度の期間に制限されているわけです。

正式なJRAの騎手免許試験に合格し、JRA騎手となったクリストフ・ルメールもミルコ・デムーロも、もともとはこの「短期免許」を利用して定期的に日本のレースで活躍していたわけです。

ところが、2017年からは外国人ジョッキーが短期免許を取得するのは難しくなっています。外国人騎手のドーピング問題などによって、短期免許の審査基準が一気に厳しくなってしまったからです。

外国人ジョッキーが日本のレースに出るためには、短期免許かJRAの騎手免許が必要になります。短期免許が取れなければ、騎手免許取得を一気に目指すことになるでしょう。

外国人の受験資格を明確化するも難易度の高いJRA騎手免許

JRAの騎手免許試験は、学科試験、身体検査、騎乗技術試験、人物考査からなる1次試験と2次試験とにわかれます。

基本的には、競馬学校等を卒業した人、地方競馬で騎手免許をもっている人、それ以外の人(怪我などで引退した騎手が復活する場合など)が受験できる試験でしたが、2014年度試験から1次試験を英語で受けられるなど試験要領が変更され、外国人ジョッキーの受け入れが認められました。

しかし、JRAの騎手免許は非常に難しい試験です。外国人ジョッキーの場合、一部体力試験などは免除されますが、強い騎手であれば合格するわけではありません。

実際、試験要領の変更後国内で初めて騎手免許試験を受験したミルコ・デムーロは一度不合格になっています。

2次試験の学科は口頭で行われるため、日本語の勉強も必要です。しかし、試験に合格できれば、外国人でもJRA所属騎手になれます。

なお、クリストフ・ルメールが所属するフランスギャロでは騎手免許の同時取得が認められていなかったため、なんとフランスの騎手免許を返納してJRA騎手になりました。

専門学校からJRA騎手学校を経て騎手免許試験を受ける長い道のり

外国人が騎手になる方法として、JRA騎手学校の課程生を経て騎手免許試験を受けるという手段もあります。ただし、騎手学校の課程生は定員10名ほどしかなく、競争率も高く、高卒認定も得られません。

騎手学校に入るために専門学校へ通い、必要な知識や技術を身につけてから騎手免許試験の合格を目指すのが、理想の道筋といえるでしょう。

海外でジョッキーに!世界に目を向ける若者へ

海外 ジョッキー

日本では年間を通して多くのレースが行われています。世界的に見てもレースのレベル、懸賞金ともにかなり高い水準であるといえます。

しかし、海外でのジョッキー生活に憧れる場合もあるでしょう。世界に羽ばたきたい、海外でジョッキーとして活躍したいという若者に向けて、海外でジョッキーになるためにはどうすればよいのかをお伝えします。

日本でジョッキーになるためのハードルは高い

日本は、ジョッキーになるためのハードルも高い国です。日本の競馬学校は、20歳までしか入学できないという厳しい制限があります。

だれでも簡単に騎手を目指せるわけではないため、例えば騎手学校への入学にチャレンジしたものの落ちてしまった人、高校を卒業してから騎手になる夢を抱いた人、20歳を越えてから騎手になりたいと思った人には困難がつきものでしょう。

そんなときこそ、世界に目を向けるべきです。競馬そのもののルールは、ある程度世界共通ですが、競馬を管理する団体やルールは国ごとに違います。日本では騎手を目指すのが難しくても、海外なら十分チャンスがあるという人も多いはずです。

海外の競馬で活躍したい若者へ。世界各国の競馬事情

海外でジョッキーになりたいと考えるのであれば、すぐに現地の騎手学校や厩舎に連絡を取り、環境を変えることが理想です。言語の不安もあると思いますが、百聞は一見にしかず、環境に慣れさえすれば語学力はある程度身につくはずです。

海外の競馬にはその土地独自のルールや雰囲気があるため、現地の厩舎で見習いの仕事をしながら、騎手学校で勉強して騎手を目指すのがおすすめの方法といえます。

また、すでに現地で活躍している日本人ジョッキーや厩務員にサポートしてもらえる場合もあります。どちらにしても、海外でジョッキーになるには日本を飛び出して行くための行動力とコミュニケーション力が欠かせません。

ただ、どの国でデビューを目指すかも重要です。各国の競馬事情を簡単に調べてみました。

コネクションがとにかく大事!騎手としてアメリカン・ドリームを掴む

総人口もジョッキーの数も多いアメリカは、競馬先進国のひとつです。地方競馬の数も多く、レースに勝ちさえすればチャンスはどんどん広がっていきます。ただ、ジョッキーとしてビザの取得が難しい場合もあり、現地でうまくやっていくためには人脈も必要です。

日本ほどしっかりとした競馬学校もないので、現地でいかにエージェントや厩舎の人と親しくなり、練習をして地方レースに出るチャンスを掴めるかどうかが重要になってくるでしょう。

ハードルが高い!歴史あるイギリスジョッキーへの道

ヨーロッパ諸国は、競馬に関して古い歴史をもっています。とくにイギリスは、国内スポーツのなかでも競馬は特に人気が高いだけではなく、由緒あるクラシックレースが多く存在します。

馬、ジョッキー、レース、それぞれが平均的にハイレベルで、ジョッキーになるための勉強や修行をするにはうってつけの環境といえます。

ただ、そのぶんイギリスでジョッキーとしてデビューするのは容易ではありません。ジョッキーになるための現実的な道筋を考えると、イギリスで勉強したあと、もう少しジョッキーになりやすい国でデビューを目指すことをおすすめします。

養成学校も多く、外国人騎手に開かれた土地オーストラリア・ニュージーランド

オーストラリアとニュージーランドは比較的競馬の歴史が浅く、ジョッキーや厩務員になるための条件が厳しくないため、海外でジョッキーになるにはおすすめの土壌です。

国によっては、ジョッキーの免許を取るために永住ビザを取らなければならない場合もありますが、オーストラリアやニュージーランドは国籍やビザの条件もゆるいため、これからジョッキーになりたいと望む人には朗報です。

また、大小さまざまな厩舎があることから民間のジョッキー養成学校も多く、現地で競馬の勉強をしながら騎手デビューを目指しやすい環境だといえます。

女性が騎手を目指すなら知っておきたい6つのこと

女性 騎手

続いて、女性がジョッキーになる方法や女性ならではの苦労、逆に男性よりも有利な点を見ていきましょう。

騎手になる方法は男性とまったく同じ

ジョッキーになる方法は、男性とまったく同じです。高校進学前後の年齢で競馬学校や地方競馬教養センターへ入り、騎手免許の試験に合格すれば騎手になることができます。

女性騎手の少なさが大きな問題

残念なことに、競馬の世界には女性騎手が両手で数えられる程度しかいません。これは、業界的に馬を制するには男性の腕力が必要だという考えがあり、女性騎手の育成に対してあまり熱心ではないからでしょう。

レースでは男女をわけることはないため、つねに筋力的には自分を上回る男性ジョッキーと戦うことになります。同僚やライバルとなる女性騎手が少ないため、仕事に関する悩みなどを同性の選手同士で共有しづらいのもデメリットです。

男性に比べて訓練中に体重が増えづらい点は有利

競馬学校に入学する人の多い15歳前後は、成長期にあたります。男性の場合、競馬学校や養成所に入ってから背が伸びたり、体つきががっしりしたりして体重の管理に困るケースも少なくありません。

しかし、男性に比べて平均身長の低い女性は、体重が大きく増加しづらいです。急激な身長の伸びや体重の増加をあまり心配しなくてよいという面では、女性騎手は有利になるでしょう。

レースによっては女性騎手のみ減量特典がある

女性騎手の強みは、減量特典です。一部のレースでは1kg、ばんえい競馬なら10kgの減量特典があります。

能力的には女性騎手と男性騎手に差はないという研究結果も

イギリスの「リヴァプール大学競馬産業経営学修士課程」が過去14年分のデータを検証した研究では、騎乗能力に男女差はほとんどないという結論を出ています。[注1]

男女の差があるのは、単純に女性騎手の数が少ないこと、また男性騎手に比べてよい馬に騎乗する機会が少ないからだという分析です。

競馬のジョッキーは、男性と同じ土俵で対等に競い合うことができる仕事なのです。

[注1]BHA:Female jockeys as good as males, suggests Thoroughbred Horseracing Industries MBA study[英文]

日本で活躍する女性騎手が生まれている

2016年にデビューした藤田菜七子騎手が、デビューしてから2年半で36勝し、女性騎手の最多勝利数と年間勝利数を14年ぶりに更新しました。

男女の騎乗能力に差がないとすれば、今後藤田騎手のようなジョッキーが増えていけばいくほど、女性騎手の活躍も増えていくと考えられます。ニュージーランドなど、女性騎手のスターが多い国へ行けば海外で活躍することも夢ではありません。

騎乗以外の仕事

騎手の仕事というと競走馬に乗って競馬に出場する「騎乗」の仕事をイメージする方は多いでしょう。しかし、騎手の仕事はこうした騎乗以外にもあります。

その一つが、競馬のPRのための活動です。競馬は競馬ファン向けに専門雑誌や専門新聞が発行されている他、スポーツ新聞でも競馬は大きく取り扱われます。

こうした記事を書くために、トレーニングセンターや厩舎には連日記者達が足を運んできるのです。記者達と立ち話をしたり、時には食事やお茶したりしながら取材を受けるとことも騎手の大切な仕事の一部です。

人気騎手になるとテレビ番組やイベントへの出演依頼がくる可能性もゼロではありません。こうした活動を通して人気を獲得していけば、騎手引退後のセカンドキャリアとして解説者やタレントとして活動できる可能性にも繋がっていきます。

騎手の1年の流れ

騎手は1年間を通してどのような仕事をしているのでしょうか?

騎乗の仕事

もっとも大事ともいえる「競走馬に乗って競馬に出場する騎乗の仕事」があります。騎乗については、JRAであれば原則土日、地方であれば週の中頃にレースが行われます。

レースは毎週行われており、レース以外の日はレースに向けた競走馬の調教等行うため、基本的には年中仕事があると考えてよいでしょう。

休日は週に1日ほど。騎手は自分の成績により収入が増減しますし、長く続けていくためには実績を残し続けなければなりません。そのためにも、1年間を通して「いい成績を挙げられそうな馬」を探し求め、営業活動をし、実際にレースに騎乗して結果を残す必要があります。

また、JRAでは春と秋にグレードの高いG1レースが行われますが、こうしたレースで勝てば騎手自身の評価が高まり、その後の仕事につなげていくことができるでしょう。さらには、仕事を通して高い評価を得られれば、海外での騎乗が依頼されるケースもあります。

騎乗に至るまでの流れ

騎手は騎手になれば仕事がくるわけではありません。

騎手として競馬に出場するためには、出走馬を持つ厩舎から騎乗依頼を受ける必要があります。厩舎の馬主や調教師は、持ち馬の出走が決まってから騎手を探すわけです。

基本的には厩舎ごとに所属騎手がいるため、所属している騎手から選ばれることもありますが、騎手としての実力や馬主、調教師との信頼関係、レース当日のスケジュールから適任な騎手があれば、外部の騎手に依頼することもあります。なお、騎手が決まると、馬と騎手が揃ってトレーニングをスタートします。

レース当日に向けて競走馬を仕上げていく

厩舎から依頼を受けて担当騎手になった後は、調教師や厩務員と連携を取りながら競走馬を仕上げていくことになります。

競走馬は生き物なので、性格も違えば癖も異なるもの。レースで勝つためには、これら性格や癖を把握しておく必要があります。そのため、普段から騎乗する他、騎乗以外にも、馬のお世話をしながらコミュニケーションを取ることも大切になるのです。

最終的には馬の目や表情を見て、馬の気持ちが分かるくらいの関係性になる必要があるといえるでしょう。

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